■ 民美講師によるコラム - 007
2005/10
 
「チェロ奏者 井上頼豊さんとの出会い」 新美 猛

 1960年代後半だったか、ある大きな集会で井上頼豊さんのチェロ演奏に出合った。その音色と共にチェロをひく男の存在感に強くひきつけられた。
その感動を100号の絵に取組んだ。以来、氏のリサイタルのたびに秘かにメモをとって絵を重ねてきた。
 ある人が「モデルになって貰ったんですか」
「いや、とてもたのむ勇気はないですよ」「私の知り合いに井上さんをよく知っている人がいるから話しましょうか」と言う。そんなことがあっておもいきって井上さんに手紙を出した。まもなく井上さんから「練習中でよければいらっしゃい」とはがきが届いた。2時間程で2枚デッサンをとった。一瞬とてもうれしそうなお顔をされたのがすごく印象に残った。
 残念なことに先生は96年84才で他界された。日本アンデパンダン展の51回展に「Y.I 氏追悼」と題して出品した。今も形を変えて「チェロをひく男」は続いている。最近は若い女性のチェリストが画面に登場している。


column007.jpg
午前2日コース講師・新美 猛
作品:「Y.I 氏追悼」」 F60号